2008年04月10日
映画の中のファッション:その3
Dolls[ドールズ]
西島秀俊と菅野美穂が演じるのは、赤い紐で結ばれた『つながれ乞食』。かつて恋人同士だった松本と佐和子だが、松本は社長令嬢に気に入られ佐和子を捨ててしまう。佐和子はショックのあまり心を病み、それを知った松本は結婚式を抜け出して佐和子を連れ出す。記憶を失い一人歩きをする佐和子を、松本は赤い紐で自分とつなぎ、二人は当てもなくさまよい歩く。『キタノ・ブルー』という言葉ができるほど、青+モノトーンのシンプルな映像にこだわっていた北野監督の新作は、日本の四季と文楽を融合させた目を見張るばかりの色とりどりの世界。その主役とも言うべき数々の衣装は、世界的にも名高い山本耀司の手によるもの。自然の中に溶け込むような美しい佐和子の衣装は、ワンカットワンカットがまるで一枚の絵を見ているよう。 満開のさくらの中の黄色。夏の海のようなブルーに重ねられた、淡い桃色のシフォン。秋の紅葉そのものの赤いドレスに、雪が積もれば黒いコートを羽織る。ラストシーンで雪道を歩く二人のどてら姿は、まさに文楽人形そのもの。実際にこんな格好をしている乞食はあり得ないわけで、物語をデフォルメしたかたちで見せる文楽の世界に自然とシンクロしていくのである。(2002年11月のお仕事)
北野監督の作品はいつもおもしろいなぁと思うものの、好きか嫌いかと言われたら嫌いです。自分を取り囲んでいる環境とはあまりにかけ離れていて、見終わるといつもしばらく途方に暮れてしまいます。
Posted by Kabachan at : 23:51
