June 6, 2008 | 13:27  |  ,  | Comments(2)

パリ、恋人たちの2日間

パリ、恋人たちの2日間 『ジュリー・デルピーが監督、脚本、制作、音楽、主演を手がけ...』というので、小走りで観てまいりました。毎度こどもたちをみてくれる人(=だんな)を確保するのが大変ですが、平日の朝っぱらからのんきに映画館へ行ける幸せ、感謝してます。
月曜の朝一番の回だったからか、観客はわたしを含めて10人ちょっとでした。しかもみなさん中年〜老年の方ばかり。よぼよぼのおじいさんがひとり係の人に手をひかれて入ってきましたが、それを見て「わたしも死ぬ間際まで映画館に通うぞ!」と熱く決意したりして。
さて、映画についてですが。すでに自分にとって思い入れの強い作品になってしまったため、なにから書けば良いやら...。
リチャード・リンクレイター監督の『恋人までの距離(ビフォア・サンライズ)』、その9年後の続編『ビフォア・サンセット』という素晴らしい作品がありますが、『パリ、恋人たちの2日間』はまったく別の物語でありながら、実はまたその続編のようでもあります。
列車の中で出会った20代前半の男女が、一晩ウィーンの街をひたすら会話しながら歩いた『ビフォア・サンライズ』。半年後に会う約束をして別れたふたりは、9年後の『ビフォア・サンセット』で再会します。あの約束はどうなったのか、気をもんでいたわたしのような人たちには「待ってました!!」と大声で泣き叫びたいぐらいの作品だったと思います。だけどそれ以上に、ふたりがパリの街中を歩きながら交わした会話はとてもリアルで奥深いものでした。イーサン・ホーク演じるジェシーにはすでに妻とこどもがいてなんともグッとくるのですが、『パリ、恋人たちの2日間』ではその後ふたりがつきあっていたら...ともとれるシチュエーション。あんなにロマンチックだったふたりも、2年もたてば...。あ、恋人のジャックは妻帯者ではありませんが。

パリ、恋人たちの2日間 ジュリー・デルピー演じるフォトグラファーのマリオンは、正義感が強く自立した賢い女性で、まさに『ビフォア〜』のセリーヌそのもの。交際歴2年の恋人ジャック(実際にジュリーと噂になったことのあるアダム・ゴールドバーグ)は、超潔癖性で神経質なインテリアデザイナーのアメリカ人。
倦怠期まっただ中のふたりは、ベネチア旅行のあと、実家に預けた猫を引き取りにパリに立ち寄ります。両親のアパートの真上にあるマリオンの部屋は、ヘンな臭いでカビだらけ。旅の間中体調を崩していたジャックは、マリオンの部屋にあった体温計を口にくわえますが、「フランスの体温計はお尻の穴で測るのよ」といきなりカルチャーショックの穴に突き落とされます。
風変わりなマリオンの両親にも動揺させられっぱなし、しかもマリオンの昔の恋人が次々と現れ、ジャックは今までまったく知らなかったマリオンの一面を見せつけられます。

ジュリーの監督作ということで、もっと淡々として退屈なものを想像していました。でも全然違った。わたしはほとんど最初から最後まで笑っていた気がします。ほとんど会話ばかりで成り立つ映画でこんなに笑わせられるとは、ほんとに良い意味で裏切られました。そういえば『PG-12』と指定されているのが不思議だったのですが、特にすんごいシーンがあるというわけでなく、主に会話の内容がPG-12なんでした。やるなぁ。
会話の内容はたまにアドリブが入ってるそうですが、ほとんどがジュリーのシナリオ通りだということです。マリオンがパーティに出かける前に「このドレスどう?太って見えない?」とジャックにたずねますが、ジャックの答えは「太ってるけど綺麗だよ」でした。とってもリアリティがあって笑える会話です。そしてそれに対してマリオンが「太ったのはタバコをやめたから」と答えているのですが、確かに、ビフォア・サンセットのときに比べるとなんだかどっしりとしたなぁって思いました。
こんな、実体験ともとれるようなエピソードも部分部分に含まれていると思います。例えば(わたしの推測ですけど)、ビフォア・サンセットでセリーヌが自分のこどもの頃のことを話すシーンがあって、確か「いつも遅刻ばかりしているわたしをある日母がつけてみたら、わたしは道ばたに立ち止まってアリの行列をじっと見つめていたんですって」とかいう内容。パリ、恋人たちの2日間でもマリオンのこどもの頃の回想シーンがありますが、いつも自分の世界に入って身動きとれなくなってしまうマリオンに、お母さんはポラロイドカメラを与え、彼女はそれでカタツムリやお人形の写真を撮ります(なんだかアメリみたいだけど)。その写真が一瞬スクリーンに映されるのですが、ほんとにジュリーがこどもの頃に撮った写真なんじゃないかなぁって思いました。本物ならステキだなぁ。
そういえばマリオンのパパとママは、本物のジュリーのご両親なんだそうです。ふたりともビフォア・サンセットでセリーヌのアパートの住人として出ていた気がします。お母さんの方は違ったかも。そんなお母さんとジム・モリソンのエピソードも、もしや実話?とか思ってしまいます。「そういう自由な時代だったのよ」と言われればなおさら...。お父さんの方は、もう存在自体が犯罪ってぐらいの強烈なキャラクターでしたが、この作品にはなくてはならない存在だったと思います。 かなり笑わせてくれました。それにしてもこの両親からあんな美女が産まれるなんて、不思議です。

もうひとり、自らを「妖精」と名乗るちょっとやばめの青年を『グッバイ、レーニン!』のダニエル・ブリュールが演じているのですが、彼の透明感ある異質な存在もまたかなりのパンチが効いていて良かったです。最初の方に誰かが「こないだ妖精に会ったのよ」とか言っていた気がするのだけど、それはもう一度観ないと確認できません。あぁ、また観たい。

まったく関係ないですが、原題の『2 Days in Paris』、下世話なわたしはどうしても『One Night in Paris』を連想してしまいます。こっちはおもっきりR指定ですけど。

あぁそうだ。サントラもかっこよかったです。わたしは見終わってすぐにジュリーの歌っているエンディングテーマを買いました。それについては↓で。

Respons to "パリ、恋人たちの2日間" (2)

川西 | June 9, 2008 23:08

イラストに磨きがかかってるね。凄くいいよ。映画を見た時このお母さんの顔を思い出すやろね。猫もかわいい。早くみたいな?

Kabachan | June 10, 2008 10:37

★川西さん
この映画、早くママにも見て欲しいわぁ〜。
猫もイイ味出てるし、お父さんとお母さんがおもしろすぎ!!
イラストのお母さんの顔は微妙に違うけど、お父さんはそっくりだよ。
上映劇場を今ちらっと見てみたけど、近場では愛媛と岡山でしかやらないみたい。なんで香川でやらないんだろうーね。
香川でも早く上映されますように。

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