フロイト家のメイドさん
フロイト家の日常生活:デトレフ・ベルテルセン (著)、石光 泰夫、石光 輝子 (訳)
図書館でたまたま見つけた本ですが、これがもし本屋で見つけた本だったなら見向きもしなかっただろうに、これぞ図書館の魔力だなぁ。
フロイトといえば、映画『アニー・ホール』の冒頭でウディ・アレンがフロイトがネタ元だとするマルクス兄弟のジョークを引用していて、だからわたしはてっきりそういう昔のコメディアンかなにかだと、最近まで思ってたりして。恥ずかしい限りですが。
フロイトの本を読破する自信は今のわたしにはまったくありませんが、賢い人がどんな日常生活を送っていたか、それは非常に興味深いところです。この本のタイトルは、そんなわたしの下世話な心をくすぐりました。パウラ・フィヒトルという名前の、フロイト家で30数年働いたメイドのインタビューからなるこの本、翻訳の文章が嫌になるほどわかりづらく、読むのにかなり時間がかかりました。でもタイトルのまんまの印象で、とてもおもしろかったのです。
30数年といっても、パウラが雇われたときにはジークムント・フロイトはすでにおじいちゃんで、ロンドンに亡命してから程なく亡くなってしまうのですが。
第二次大戦中のさなかユダヤ人であったフロイト家をとりまく時代背景もまた、わたしのつたない歴史の知識とリンクしてなるほどねぇと唸りました。
マリリン・モンローが患者としてやって来たときの話も、興味津々で読みました。あとはヴァージニア・ウルフなども、わたしは映画『めぐりあう時間たち』の中での彼女ぐらいしか知らないので、パウラの視点で書かれた彼女たちの印象はおもしろかったです。
フロイト家の日常の描写もやはりおもしろかったです。ウィーンで暮らしていたアパートは間取り図のカットまであって、わたしはいろんな妄想をふくらませつつ読みました。でもフロイト家の人たちのというよりもパウラを中心に書かれているので、どんどん彼女に感情移入してしまって、読み進むうちにわたしはほとんどパウラになりかけていた気がします。
彼女のフロイト家に仕える精神はしだいに病的になり、「メイド症候群」とでも呼びたいくらい。ご主人様に診てもらえばよかったのに。
















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