バター、バター、クリーム、バター
アリス・B・トクラスの料理読本 ガートルード・スタインのパリの食卓:アリス・B・トクラス(著)、高橋 雄一郎・金関 いな(訳)

ガートルード・スタインは作家で、新人画家のパトロンでもありました。アリス・B・トクラスはガートルード・スタインの生涯の恋人で、この本はガートルード・スタインが亡きあと、アリスがガートルード・スタインや友人たちにふるまった料理のレシピとエッセイをまとめたものです。
わたしはガートルード・スタインもアリス・B・トクラスも知らなかったんですが、ふたりとも女の人です。
ガートルード・スタインがサロンで客人のお相手をしている間、アリスはせっせとごちそうの支度をしていたようです。数々のレシピがかなり詳細に書かれていますが(写真などはない)、どれも手間と時間のかかる手の込んだものばかりでした。
食材も豪華で、なかなか真似のできそうなレシピがないのだけど、一番びっくりしたのは「蛙の足を100本用意して」とさらっと書いてあったこと。フランスでは蛙の足が普通に手に入るのかな。わたしは一度だけ食べたことあるんだけど、思わずベルヴィルランデブーを思い出してしまいました。
まだ読み始めたばかりの頃、あんまりよだれが出るので『小猪のロースのロースト』を豚肉に変えて作ってみました。オーブンで焼きながら、皿にたまったバターと肉汁をローズマリーの束を使って肉に塗りつける作業が楽しかった。仕上げにゆで栗を加えるのだけど、なかったので割愛。一応『猟肉料理用のソース』というものを作ったのだけど、いろいろ足りないものを省いて、バターの量も減らしたら、結局いつものソースのような味になってしまいました(笑。
タイトルにはパリの食卓とあるけど、パリでのエピソードは前半で、あとは戦時中の基金の仕事でクルマで旅をしながらの食卓となり、その後1年アメリカでの食卓もあり、後半は南仏ビリニャンで14年間過ごします。
ビリニャンでの菜園の様子はとても興味深く読みました。いろんな野菜やフルーツを育てて、その成果などが詳細に書かれていておもしろかったです。「自分で作った野菜の収穫ほど胸をときめかせ、深い満足感を与えてくれるものはなかった」という彼女のことばが、とても心に残りました。わたしもいつかは...。
そういえばアルネでの解説には「ハシシ入りケーキ」のことが書かれていたのだけど、それは最後まで出てきませんでした。不思議に思っていたのだけど、翻訳者高橋雄一郎さんのあとがきに、原本が膨大だったため3分の1にカットしたということが書かれていました。このハシシ入りケーキ(正確にはハシシ・ファッジ)はカットされた「友人たちのレシピ」という章に収録されていたそうですが、初版の出版時にもこのやばいレシピは削られていたそうです。
高橋さんのあとがきは、とても文章がきれいで引き込まれる内容でした。本文の訳も、分かりやすくとても読みやすかったです。
最初のページを読み始めてからすでに何年も経ってしまったので、もう一度最初から読み直したくなっております。
















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