[ April 2011 ] Archive
リアルな主婦象
逆襲、にっぽんの明るい奥さま:夏石 鈴子

お茶くみ奥さま、レジ打ち奥さま、長生き奥さまなどなど、いろんな奥さまの短編集。物凄くリアルで、たぶん実話なのかな?
小学生ぐらいの子どもを持つ奥さまの話が多く、PTAについての話題など寒気がするほど身に覚えのあるエピソードばかり。現実的すぎて複雑な気持ちになってしまったのだけど、それでもあっという間に読み終わってしまいました。
リアルすぎる奥さまの中でも、不倫の末に略奪結婚した奥さまと、義理のお母さんに逆襲する奥さまの話が、自分にとっては非現実的でおもしろかったです。だけど、小説を読むというより、誰かの人生相談を読んでいるようだったかな。
わたしが本に求めていることは、せっかく時間を割いて読むのであるから、自分の生活とはちょっとかけ離れた世界であってほしいのかな。と気づきました。
川上弘美さんのような人は、きっとすごい速さでいろんな本を読んでいるんでしょうね。
愛情日誌:夏石 鈴子

そして3編目は、なぜか独身の銀行員女子(美人)が本屋でおっさんにナンパされるというお話なのですが、この3編の構成はいったいなんなのでしょう。
3編目が異様に浮いていて、前の2編でむなしくなったあとにこれを読むと、おばさんなんだかとっても落ち込んでしまいました。
このもてもての銀行員女子も、いずれは結婚して家事と育児に疲れ果てるのだと思うと、女の人生ってなんてつまらないんだろう。などと考えてしまいます。もっと楽しいはずだけどなぁ。
ライ麦畑で...
キャッチャー・イン・ザ・ライ:J.D.サリンジャー(著)、村上 春樹(訳)

マーク・チャップマンがこの本に影響されて、という以外なんの知識もなく読んだのですが、想像していたのとは時代背景から違っていて面食らいました。どうしてもノルウェイの森と重なってしまうのはどんなもんか。
おもしろかったのだけど、アラフォーの脳みそにはあまりなにも残りませんでした。なんだか、自分があんまり若くないということを付きつけられたようで悲しいです。
ホールデンの言動は世間知らずのおぼっちゃまにしか思えない部分が多かったけど、10代の頃、いやせめて20代前半の迷走していた頃に読んでいれば、少しは救われたかもしれないな。この先息子たちが人生に行き詰まっていそうなとき、すすめてみようかと思います。
春のふるさと
映画が先か、原作か
冷血:トルーマン・カポーティ(著)、佐々田 雅子(訳)

カンザス州ホルカムで起きた一家4人惨殺事件を、5年間取材し完成させたノンフィクション小説の金字塔だそうです。覚悟はしていたけど、分厚い上に細かい字がびっしり。ページを開いた瞬間くらっとしましたが、読み進めるうちに夢中になりました。
映画では、新聞で事件のことを知ったカポーティが汽車に乗って取材に出かけるところから始まりますが、本には気配はあるもののカポーティ自身は出てきません。だけど場面場面で映画でのカポーティの言動が重なりますます引きこまれ、また殺人犯のペリー・スミスはクリフトン・コリンズ・Jrの悲しげな表情が焼き付いて、感情移入してしまいました。
おもしろい映画を見るとたいてい原作を読みたくなってしまうけど、先に原作を読んでいる場合とどっちがいいのかいつも考えてしまいます。時と場合によるかな。
事件の起きたホルカムの描写から物語が始まりますが、手に取るように情景が浮かんできました。事件の前後の犯人の様子と、事件を追う刑事の様子が絶妙の配分で構成されていて、逮捕の直前は読んでいるだけでドキドキしてしまった。
それにしても、事件の詳細を知れば知るほどやるせない気持ちになりました。根っからの悪党みたいな人もいるだろうけど、ペリーの孤独な人生を思うとかなしくなる。
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